公務員を自己都合退職して退職手当はどうなったかの実例【支給時期・計算方法・税金・申告】

2024年3月に公務員を自己都合退職しました。
その際に支給された退職手当(退職金)について、計算方法などをまとめたものです。

退職手当は、勤務継続年数によって支給額が大きく変わってきます。

(以下、わかりやすく表現したいので正確さに欠けるかもしれませんがご了承ください)

基本的に勤務年数が長ければ長いほど支給額も高くなるわけですが、計算式や毎年昇給することを加味すれば、毎年同じ金額が増えるわけではありません。1年あたりの増額も年々増えていき、指数関数に近い増額をしていきます。
また上記の増加のペースとは例外的に支給額がかなり増加する節目の勤続年数があるようです。

どうせ退職するのなら、退職手当が大きく増額した直後のタイミングを狙えば「お得」な感じもします。
公務員を中途退職しようと考えている方には、退職時期を考える上での参考になるかもしれません。

目次

要約

  • 退職手当の金額の目安は、給料月額に支給割合をかけて求める(調整額があれば加算)
  • 自己都合退職するなら勤務年数11年、16年、20年であれば退職手当は前年に退職した場合と比べ割高になる
  • 退職月翌月上旬に支給
  • 事前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出したので確定申告は不要
  • 住民税が源泉徴収される(退職した月によって何ヶ月分か変わってくる。3月に退職した場合は5月分まで)

退職手当の計算方法

参考までに、国家公務員の退職手当支給割合一覧が人事院のホームページに掲載されています。

勤続10年以下(調整額が無い方)なら、退職日現在の給料月額(天引き前の額)に支給割合を掛けるだけで求められるようです。
私は国家公務員ではなく市役所職員でしたが、この表で簡単に計算できました。


例として、勤続年数5年で自己都合退職し、退職日時点の給料月額が245,000円だったとします。

一番左の列の「勤続年数」を参照して「法3条」「自己都合」の列を探すと、支給割合は「2.511」となっています。

よって、退職手当は
給料月額×支給割合=245,000円×2.511=615,195円
と求められます。

【考察】勤続年数何年で退職すれば退職手当を割高にもらえるか

先述しましたが、公務員は基本的には毎年昇給していくので勤務年数が長ければ長いほど、退職時の給与月額および上記計算ででてくる支給割合の数値が大きくなるので、退職手当の額が増額します。

そして、支給額が大きく増加する勤続年数があるともお伝えしました。
試算した結果、その勤続年数は「11年」「16年」「20年」のようです。
理由は単純で、前年と比較して支給割合が大きく増加しているのです笑

実際はあり得ませんが、給与月額が変わらないものとして1年あたりの手当の額(退職手当の額÷勤務年数)を調べたところ、勤務年数10年までは一定の額で、11年目以降から増額していきます。勤務年数30年で最も高額となり、以降は緩やかに減少していきます。

続いて、仮に毎年支給月額が5000円増額する場合の1年あたりの手当額を調べると、勤続年数42年までは毎年増加していきます。
勤務年数30年で最も高額となり、以降は緩やかに減少していきます。
支給額が大きく増加する11年・16年・20年は、増額の値も一気に大きくなります。(11年が最大)
それ以外の年はまちまちですが、17〜30年が高額な傾向にあります。
ちなみに1〜10年までは毎年同額ずつ増えていきます。(11年以降の勤続年数と比べ額は少ないです)

…まとめると、今回は仮の支給月額で計算しましたが、勤続年数「11年」「16年」「20年」のいずれかで退職した場合、前年に退職した場合と比べ大きく手当額が増加するのはほぼ確実といえます。
特に10年と11年では比率で見ると最も差があるので、勤続年数10年近くで退職を考えている方は、11年に達するまで待つことを検討してみてもいいかもしれません。

大きく増えるまで待つべきか?【金額が全てではない】

上に色々書きましたが、「今辞めてもそんなに多くもらえないから、もう○年後に退職しよう」と先延ばししていると将来さらに法改正などで減額されて、いざ退職となった際に思ったより貰えなかったり、いつまでも先延ばしして退職できなかったり…ということになりかねません。

退職手当が増えるまで待つ時間は後から取り返せないものですから、思い立ったらすぐに退職してしまうのが、全体的に見てベストな選択ということも考えられます。

退職手当はいつ支給される?

私の場合は、退職手当は退職月翌月上旬には支給されました。
退職手当の条例に「退職日から起算して1月以内に支払わなければならない」旨の記載がありましたので、それが根拠のようです。

税金と申告について

住民税

年度末(3月末)に退職したのですが、5月分までの住民税がまとめて天引きされたようです。

申告

事前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているので確定申告は不要となりました。

退職所得にかかる税金は、以下の表の式から退職所得控除額を算出して、控除額>退職手当の額 となれば実質免除となります。

ほとんどの方は、どの年数で退職しても税金はかかりません。

勤続年数(1年未満の端数は切上げ)退職所得控除額
20年以下の場合40万円×勤続年数(80万円に満たないときは、80万円)
20年を超える場合800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職所得控除額の計算表

感想(読まなくて構いません)

ご存知の方も多いと思いますが、民間との均衡を図るため、昔と比べ退職手当は削減されました。
詳しい計算過程は省きますが、勤続年数が35年以下の場合、従前の83.7%しか支給されないようになっています(先述した計算式の支給割合には反映されているようです)

公務員は雇用保険に入れませんので、退職後の失業手当は当然ありません。
にもかかわらず、周りと合わせたいから減らすのは個人的にはどうなのか?といったところですね。(上記の83.7%という数値がそういった事情を考慮した上で設定しているのかまでは調べられなかったので、強く言えるわけでは無いのですが…)

公務員は民間よりもリストラの確率がかなり低く安定している・定年退職が保障されているから、自己都合退職してほしくないから、雇用保険は加入できない…という理由があるのかもしれません。

しかし、職に対する考え方は変わってきています。
新卒で入社した会社に定年退職まで働き続けるのではなく、キャリアアップに応じてより高待遇の企業に転職することを選択する人が増えてきています。公務員であっても例外では無いのですよ…。
雇用保険に限らず別の形でも構いませんので、公務員も転職しやすい世の中になっていってほしいものです。

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